吾輩は猫ニャンである 其壱/銀薔薇
吾輩は猫ニャンである
親分が
まだ目も開いていにゃい
吾輩を拾ってくれたのである
親分の手のひらよりも
まだ小さかった頃
もうすでに吾輩は
親分の枕で一緒に寝ておった
ある夜
親分は風邪をひいて
四〇度の高熱でうなされておった
吾輩はお医者さまではにゃいので
病気を治すことは出来にゃいけれど
ほっぺをぺろぺろして
苦しそうな親分を
応援したのである
親分には
でっかいパパと
でっかいママがおって
三人家族である
ほかのニャン子たちは
ご飯をくれる
でっかいママ派にゃのだが
寂しがりやの親分が
何故か不憫で
大きくなった今でも
吾輩だけが
親分派にゃのである
そんな吾輩の気苦労も知らず
今夜も親分は気持ちよく
吾輩の隣で寝ておるのである
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