引っ越し/短角牛
 
一人でふたり分の荷物を整理する

なんて過酷で残酷な(笑)

やり始めるとやっぱり記憶に飲み込まれそうで

それでも時々、楽しくて


壁のシールを剥がせば そこだけ白くて

この輪郭も絵になるなぁなんてセンチになって

お揃いの食器も、もうひとりぶんでいい

物に罪はないから 私の分は使い続けるよ

なぜだかそんなに嫌じゃないの


荷物が運び出され 新居に運ばれていく

逆方向に、不用品を積んだ方のトラックが去っていく

待って、全部いるものなの

でも 一人じゃそれは言えなくて


空っぽの部屋で 思い出が走り回る

空っぽだから
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