コピー。/田中宏輔
ペラとした白黒のぼく。頭のところをもって垂
らしてみる。目をつむったぼくの顔。手をはな
すと、ヘロヘロヘローとへたり込む。もう一度
手にもって垂らしてみる。でも、やっぱりペラ
ペラとした白黒のぼく。窓を開けて、ぼくは、
ぼくのコピーを風に飛ばしてやった。
目を開けると、ぼくは風にのって飛んでた。
とっても軽くって、ヒラヒラヒラーと飛んでっ
た。高層ビルの透き間をぬけて、ぼくは飛んで
った。どんどん遠くに飛んでゆく。風にのって
どんどん遠くに飛んでゆく。
ああ、ぼくはどこまで飛んでゆくんだろう。
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