咆哮の特性/ホロウ・シカエルボク
街では亡者たちがうろついてる
目的を忘れた間抜けたちの群れだ
どんなに掃除をしても街路は汚れ続ける
どんなに愛が溢れても醜い憎悪に変わる
焼き立てのパンにピーナッツバター
幸せの理由なんてその程度しかない
あっという間に埃まみれになる床に掃除機をかけながら
ラジオで流れる交響曲に唾を吐きかけてる
女は鏡の前から離れない
悪い酒を飲んだみたいにうっとりとしている
何かを塗るたびに喘ぎ声を出して
そいつが耳障りで仕方がないんだ
紋切り型の正義しか守れない
そんなやつらが万引き少年の利き手を手首から切り落とす夕方
石畳にパッと赤黒い花が咲いて
そのまま放置された少年
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