小旅行にて/短角牛
 
記憶 そのやさしさに

私は鼻歌で応えていた 昨日よもう一度


だからなんだという話 私のしがない小旅行

懐かしさが切ないのは ドルチェ&ガッバーナの香水のせいではないはずさ

誰そ彼のヒグラシ 5時にはトオキヤマニヒハオチテ

子供も帰った公園 開いた隣家の窓 揺れるカーテン

そうだね 昔もそんなものばかりを見て きれいだなって思ってた

良いも悪いも 行くも行かぬも 私 そうやって生きていたんだった


その輪郭を抱きしめて ようやく出てきた帰郷の挨拶は

夜風に消えていった



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