父の日に/本田憲嵩
仏壇のロウソクに火をともし、それから線香をあげて、
いつも手を合わせて、そのように月にいちどは戻ってくる、
いもうとが、父の日に花束と缶ビール1ダース分をプレゼントしている、
天気のいい、昼間のリビングで、
にぎやかさな三人の会話は、いつもあかるく、
まるで木製のフローリングに、
響きわたる、
みたいに、
やがて、
窓の開けはなたれた子供部屋へともどり、
大人用のベッドによこたわって、
かんまんな風をあび、
iPhoneで、フリーセルをしながら、
初夏のひるまの、
あかるい、
ねむりにつく、
白いレースのカーテンは、ひるがえっている、
いつもの光景がそこにある、
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