カタコトや/ただのみきや
 
頬をなぶる風 
ひるがえる恋情のように
雨を呼び
低く速い
雲は濃淡に光をにじませて

空のようにこころをしぼれるか
燃えさしの骨をひろえるか
瞑った太陽の頬をなぞるように
数える指を失くしながら
ぬりつぶす雨の来る前に

ひねりつぶされるすずめの声で

  *

くつがえされた土くれの
 かすかな呼気
 瞑ったままの声

信号の押しボタンにとどかない
幼子の
タンポポ色の帽子をかすめた
蝶の影が拡大される

むすぼれた幻の 沈黙が
 独り歩きをはじめる

つぶやきが石と化し
時を経て虫となり
サンダルから出たつま先の
青に溺れて昇天し
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