風、満ち足りて/為作
 
風に満ち足りて花に憂う
水滴は一夜を幻に染める
夜の静けさに映り
溢れる心の瞬間に今、
あなたは闇を想う
走れとばかり、飛び立つ鳥
月灯りの淵の
電灯はもう
薄目を閉じて
片足で立っている
夜の公園に解き放たれた
野良の死骸を
誰にも見つからないように
食べしまった
月明かりは雲に陰り
歌い終わった鳥のような
奈落の底も、LED。

戻る   Point(1)