永遠には生きられないけど/ホロウ・シカエルボク
 
にある。液という液を出し尽くしてしまえば、死体は臭わなくなるのかもしれない。あと二ヶ月もあれば、この女も綺麗に骨だけになってしまっていたのではないだろうか。「やあ」と俺はナンパでもするように話しかけた。「どうしてこんなところに来たんだ」返事は無かった。当り前だ。でもそれが気楽だった。見知らぬ人間との会話が嫌いだった。だから見知った人間というものが居なかった。仕事場、近所―見知らぬ人間だけがウロウロしていた。でも、それが一番居心地が良かった。「死体になってどれくらい?」と俺は訊いてみた。死んでどれくらいというのは、素人には判断がつかないものだ。もっとも、そんなものの玄人になることが人生に何をもたらす
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