永遠には生きられないけど/ホロウ・シカエルボク
の死よりもずっと、俺の心中に死というものを克明に植え付けていたのだ。だからきっと、忘れてはいなかったのだろう。あの鼠は、ずっと俺の中で砂に変わり続けているのだ。俺は女の側に腰を下ろした。死んだものが好きだった。ネットで強烈な事故の映像を漁り、廃墟に潜り、廃道を歩いた。いや、動画配信者ではない。あくまで自分がそれを見たいだけなのだ。今日もそうした趣味の一日だった。航空写真で見つけた山中の廃墟らしい建物を見つけ、監視カメラを避けながら潜り込んだ。死臭のようなものは感じなかった。女は一階の、壁の無い柱のみの駐車場に横たわっていて、絶えず風に吹かれているせいかもしれなかった。臭わない死体というのはたまにあ
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