Overlap/塔野夏子
 

(私の)
(君の)

そしてまたほどかれてゆく
漂う五月の夜が
薫る風を六月へと
送りゆくにつれて

ひらいたりとじたりする
時の瞼のもとで
谺のように出会う
(君に)
(私に)
雨のように降るおびただしい貌
の中から

選びながら
選ばれてゆく
その果てしなさに
けれど微笑みながら

輪郭を失くした処で
淡くかさなりあうのは
君の手と
私の手か


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