六月の気配は等間隔に僕らの距離を湿潤していた。/ねことら
 
酔っ払ってるような言葉だったから気にも止めなかった。電車は数分おきに発車してて、それぞれの路線にそれぞれの終点が用意されていることを知った。曇りがちで、夏のじんわりとした気配が少しずつ街に染み出していた。僕は健康で、君も健康だった。
一コマずつきれいに撮りためた記憶に、どのような手でページが振られ、誰に読まれ、読まれなくなっていくか、ということを考えたりする。まだ六月だけど、生活は僕たちの手の届く半径に浸透していて、遠く透明な花火の影を追いながら、まばらに小石を投げあっている。





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