家路/ひだかたけし
河の流れ、刻々
変わることなく大海に注ぎ
時の流れ、刻々
途絶えることなく生を死に還し
黄昏の街に佇み
天涯孤独のこの身、
静か観て沈潜し
深々と眠る己の霊性、
街に照り返す新緑の影に
幾ばくかの覚醒の責務、
負う我が身を想い眼差す
既に聖なる宇宙へ還った、
あの人この人懐かしみ
あなたの相変わらず
チーズケーキと紅茶、
頬張り啜る若い貪欲に
打ち寄せ返す浜辺の波
その力動 押し寄せ感受し
河の流れ、刻々
変わることなく大海に注ぎ
時の流れ、刻々
途絶えることなく生を死に還し
街の家々にまた明かり灯る頃、
私は魂の静かさと均衡 得て
ゆっくりと確かな家路 辿る
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