枯れた言の葉/松本 卓也
足元に散らばっている
枯れた言の葉に描かれた
思い出たちはもう見えず
呆けた笑いが溢れ散る
ささやかな喜びも
忘れ得ない悲しみも
気づけば声もないままに
寂しさだけが遺ってる
ああ 何を詠ってきたのか
言の葉はまだ胸から生まれ
記憶という烙印を刻んで
ボヤキと共に消えていく
だけだった
だけだったのに
身を任せまた生まれくる
言の葉に意味を与えつつ
枯れ落ちるその時までは
まだ憶えていたいのだ
枯れた言の葉に刻まれた
思い出たちへもう一つ
意味が与えられるなら
皮肉な笑みも浮かばれる
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