転生の樹/ただのみきや
 
あこがれとあきらめは一本の棒の両端だ
わたしはあきらめを手に取って
虚空の真中を指し示す
逆ではだめだ 間違っても
あきらめこそがあこがれを純化し
手遅れだからこそ輝きは増し加わる
処刑台のから見えるはずのない丘
青春の日々 初恋の面影
記憶が焼けて灰になるぼど
美しい 庭園で待つ人よ
 
  *

古風な幸いが葉桜の下で膝を折る
やっとここに来れたのだ 
花びらは涙のよう
風呂敷をほどく
黒塗りの三段重箱
ああわたしの夢想 美しい生首は
腐り果てた現実となって腐臭を放っていた
この膝こそが祭壇だったのに
いま花びらは血の涙
二羽の鶺鴒が追いかけ合って∞
[次のページ]
戻る   Point(2)