そは、さやけし/あらい
 
巡礼の羽
 風を流して、域を犯し、微笑の穂の垂れ下がるは
ひとまず
 公園で錆びるもの腰を下ろして微動だにせず

ゆらぐもの
心に

なれた手付きで花を摘む
顔を振っては堂々たる
旅立ちにある蝶は羽ばたく
いやいや
すがすがしい うやうやしき
狂わせよ、さやけし。

ささやかな息吹をこの風にのせるなら

紫の湖、翠の森、緋色の小花
 黄色の華火、薄紅色の山々があって、また眼下には有燈色に
 魅せる白銀のお家が並んでいる。陽はいつまでもオレンジの
 香りを、月はきまって夏季のような蜉蝣を求めていた。女が
 そこに向かうにはまだ早すぎ、崖の削ぎ落としたところか
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