夢の野辺/ひだかたけし
圧倒的な晴天に
階段を
上る
ぐんぐんぐんぐん登る
どこまでもどこまでも昇る
すると、
涼やかな風に舞い
純白透明な綿毛
無数、数知れず
飛び交って来る
階段の頂きに開けた
鮮やかな緑の野辺から
無数に舞い飛び交う
綿毛に取り巻かれ
導かれて招かれて
不思議に開けた
鮮やかな緑の野辺に
いつのまにか
私は在る
肉の桎梏から解き放たれ
しずかに かろやかに
独り在る
*
この圧倒的な晴天に
生き生きと
階段を昇り切り
フシギに開けた
鮮やかな緑の野辺に
今、
風が吹く
ああ
吹き抜ける
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