誰かが遠くで笑ってる/ホロウ・シカエルボク
 
いた、銃か?何があった?辺りを見回すと程遠くないビルの屋上で何かが光った、慌ててでかいゴミ箱の後ろに隠れてしばらくの間じっとしていた、けれど、死体のそばに長く留まるのもいいことには思えなかった、あのビルはこの通り全体を見渡せる位置にある、俺はでかいゴミ箱を盾にして引き摺りながら通りを移動した、上手く死角になっているのか確信は無かったが、それ以上の追撃は無かった、路地を出る頃にはクタクタになっていた、結局のところ罠だったのか、あの作業服の男は俺を助けてくれたのか、誰がなんのためにこんなことを仕組んだのか、なにも分からないまま死体と死の恐怖だけが転がっていた、タクシーを拾って家に帰った、気付く必要のないものに気付いて追いかけたりしていると、こんな目に遭うこともあるらしい、明日からの俺がどんなことをして生きるのか全く分からなかった、少なくともしばらくは歩道に落ちているものには目もくれないだろう。


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