湯豆腐/リリー
ク菓子
妻に背を向け サッカー台を離れる夫のプリントTシャツは
『人の人生は重荷を負うて遠き道をゆくがごとし 徳川家康』
後ろから着いて行く妻は短パンジーンズでもろ肌出して
ピンクカラーの頭髪に唇ピアス
私は絹ごし豆腐一丁を手にしたまま彼らを見送った
その姿、見えなくなるまで
店舗を出ると堂の川
流れているとも思えない 琵琶湖へ注ぐ町の川沿い
今日ライラックが満開なのに
寒の戻りで一人鍋
ねぎをかけて
かつぶしかけて
七味とうがらしふって
ふう ふう と鍋のあつさに
にじむ笑いを顔に浴びて楽しむのです
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