アップルパイ/
リリー
も柔らかそう、杏ジャムのツヤで綺麗な狐色やわ。
大きいし値張るのも分かるな。
黙って隣に立つ僕は 彼女の呟く語りでもう
食した気分になってしまう
「さ、行こうか。」
先立って歩き始めると彼女に腕つかまれて
「ありがとう。ね、マクド寄って帰ろっか?」
先週末に洗って小ざっぱりしているスニーカーの靴音と
インディゴブルーなパンプスの踵が 明るく囀り
喫茶店から遠ざかっていった
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