ビー玉沿線/AB(なかほど)
東京SK駅から北東約十分
明日にかかるプールバーで
転がる玉を見ている
すべての始まりはそこで
やがて
花火の夜に散るように
マイクロバスから
あせた国際色が帰る宿
すべての始まりはそこにあると
信じるものたちの
終わりも始まる
故郷行きの廃線が決まった
子供達の広場が掘り起こされると
すべり台の横あたりから
縄文の三千年の時を超えて
いくつもの玉が転がりだした
あの場所で
スキップをしたときに失くしてしまった玉も
もう見つからないのに
あいかわらずの僕達は
あの頃の
あの場所で
なんて
ありもしないところで
どこかで
こつんと音がするのを待っている
待っている
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