祝福の瞬間/
ひだかたけし
木々の枝葉が大きく揺れる
熱風が吹いているのだな
濃緑の群れが青空に
美しく浮き出すようになびく
熱いうねり 風景をかき混ぜ
世界が立ち現れる、
引き伸ばされた瞬間の光景となり
私は只 身一点、
ベランダから凝視する
いつしか
自らの場所を貸し与えられ
世界に包まれ世界に含まれ
世界は今、普段の優しい無関心を解き
私という存在を迎え入れる
悠然と光の渦、
陶然と濃緑の香、
私は今、生きて在り この世界の一部と成る
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