痕跡(改訂)/ひだかたけし
独りの魂の
高い壁が
うねっている
青を含み
空は曇天
渦を巻き
唸っている、
叫んでいる、
糸杉は色濃く戦慄き
野性の風 吹き荒れ
灼熱の太陽、消える星
意識澄み、
造形の音楽の
響きが語る
意味に身を任せ
沈み込むように
浮き上がるように
眼を見開き耳を傾け
光の瞬きに思考する
独りの魂の
高い壁が
響きわたる
乱れ飛ぶサクソフォーン
持続する旋律、
打刻されるビート
透明な呪いに
声は裂け
唸っている、
叫んでいる、
意志のコード打ち下ろし
野性の風 吹き荒れ
灼熱の太陽、消える星
*
販売され購入され
幾度でも覚醒し
生き続ける魂の痕跡
裂開する瞬間に
内なる根源、
流出し続け
独りが、独りに、開く、
不可視の 美の残照
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