五月のうた/リリー
 
香と共に緑の香をかぐ夜
 さわやかに
 私の身体の伸びているのが解る
 だが
 心の底深く流れるものを
 何度か 湯ぶねで洗い落とそうとしたのだったが
 風にさらされている胸をひたしていく

        *

 詩心の寂しさ
 湧き出る囁きのすみとおる
 五月という
 山の美しい季節

 花をうたう心を忘れているのに
 たえかねて湧き出る詩心よ

 お前も 寂しくはないか



 
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