うしろの朔太郎/花形新次
背後霊が生前自称詩人だったため
いつも耳元でクソみたいな
自称詩を囁かれて気が狂いそうだ
自称詩人の背後霊は
自分のことを
「うしろの朔太郎」と名乗っているが
朔太郎とは程遠いクソ野郎だ
「あなたの背中」うしろの朔太郎
わたしには
あなたの背中しか見えない
それはわたしの選んだこと
こうしてあなたの背中に
触れていると
その温もりで
生きていたあのときを
思い出すことが出来る
だからわたし
ずっとこうしている
ずっとずっと
あなたがこちらの世界に来る日まで
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