ASCHE UND LANGE /アラガイs
 
であった。
アフリカや東南アジアから積み木のように人々が押し寄せてくる。中でも大量の債権や株を携えて、送金していた膨大な金額の投資先を目当てにやってくる者は後を絶たない。「アソコのブッケンはハヤイものカチだよ…」こんな会話をよく耳にする。どの都市を見ても自国民が誰で、わたしがどこの国に存在しているのかわからなくなってしまった。

「曙」という名の老人ホームがある
そこには灰にまみれた水仙の球根が埋まり
庭先で白い布を干すカタコトな人々が活発にとび跳ねる
ほら、今日も無表情な入居者の顔から魂がひとり歩きしている
一世代を超えて存在の塊を護ってきた霊たち、その影よ
空白から眺めるばかりの生い立ちは媚肉と灰に混ざり合い
 わたしはもう眠らなければならない    そして、
、いまこの瞬間に過去という幻から目覚めようとしている








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