五月の夜/番田 
 
何も思い出すようなこともない
遠い昔に歩いた夜
何も知らない僕らは学生だった
親から借りた車に乗っていた


湾口から見ていた化学工場の光と
遠くから来たであろう小さな船
船員たちが出発を待ち
そこで眠っているように
遠い先のことばかりを僕らは考えながら
夜空の下を歩いていた

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