虚構の翼/ただのみきや
 

記憶と気持ち
甘い夏の花の香り

研磨され続けた渇望の原石は
ある時おのれの影に名前を付けて
真実という仮面を与えた
すべてはつながった
そう思った
レトリックのカラクリ
カンセイはレッカのイット

二股の分かれ道
キにつるされた仔猫の骸
煙のオベリスク
名前も
なにもかもが

無尽層に堆積する
データと塵に違いはない
自分の墓を磨くといい
死ぬまでの行楽として
なにを期待する
ルーペで塵をのぞく者
あるいは霊媒師
主観のピンが抜けてしまえば
時代の尺すら微々たるもの
まして人の尺など流れ続ける時の中で

ことばが脳の仕組みから解き放た
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