雨の日のやさしさ/soft_machine
上手に傘が開けたよ
長靴ぬらさなかった
ふかく巻かれるこびとのささぶね
そろそろ川があふれ出しそう
(こんな雨の日はやさしい)
舌を使って
どっちの蛙を乗せようかとも問う
山の奥へ向かう貨車も濡れ
いつまでも
踏切を
返してくれなくて
掴んだ犬でなみだがこぼれたあの日
貰った紙をゆっくり曲げたり
折れたり
何かの匂いにうなづいたあの日
こんな
雨の日だから やさしいのです
墨のように伸びやかに
乾き待ちの春を送ろう
ひととき叶えてもくれたし
花と指とを潤してくれたし
上手に手紙がたため (抽斗に重なる)
ひとりぽっちの
雨音のみじかさ
長針と短針の連なり
わたしを 刻むのを 拒める
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