この白い小部屋にて/ひだかたけし
この白い小部屋にて、
宙空から貸し与えられた
わたしという寂寥と憧憬、
凍り付いた滝の流れのように
ただひとり街から取り残される
*
霊性帯びた老婆の像、
荒野に打ち付けられ
凍りついていきながら
光輝き燃え上がる一瞬、
そこにわたしは居る
感覚に囚われることなく
自由奔放に思考しながら
(両性具有としての魂、半分
あらゆる感情欲望の炸裂に
この世のジェットコースター
溺れ溺愛し破滅していく哀れ)
*
円環に閉じ込められた街
わたしはこの白い小部屋にて
逃れ脱出する、あの霊性にて、
思考にて、逸脱し飛躍する
あの霊性にて思考にて
凍り付いた滝の流れ融解し
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