鬼と叔父さん/soft_machine
甘ったるい息に包まれた
与太話がこの上なく好きで、その膝の上の拡がりが好きで
恨めしいを生業にしちまえるのが鬼だからサ
いつか俺も一匹の立派な鬼になって
お前らを喰いに来ちまうんだろうよ
こんな暗闇をぬって
おこんばんわってね
歯だけは丈夫だろ?
骨って旨いもんな
それでもチビ連そん時は遠慮するな
遠慮だけはするなよ
常々そう言い連ねるので\一切、遠慮しなかったし\風葬
もやっぱり巧く行かず\叔父さんは干からびながら今も饒
舌なままだけど\乾いた舌の発音の悪さで\もう何を伝え
ているのか判らない
ただ
ごうっ、ごうっ、と吠える風を発生し
眼窩からも独特の赤光を失った
私には
そんな叔父さんの気持ちが何となく伝わって
いつか叔父さん譲りの軽やかな「サ」を以て
こう、にっこり笑いかけるのだ
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