玉手箱を開けてしもうた後/北村 守通
 
 わたしと
 あなたは
 きっと
 きっと
 たった
 これっぽっちしか
 離れていない
 はずなのだ
 たった
 たった
 それっぽっちしか
 離れていない
 はずなのだ
 
   しかし
     しかし
       しかし

 わたしと
 あなたは
 もう
 永遠に
 出会うことはないのだ
 この
 住み慣れた町の中でさえ
 決して出会うことのない
 細道があるように
 永遠に
 出会うことはないのだ
 すれ違うことすらないのだ

 たった

 たった
 これっぽっちの
 距離が
 わたしには
 

      たまらなく遠すぎるのだ

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