嵐、明けて、恋/赤錆
頭の中に渦巻いているにごり濁ったぐちゃぐちゃな感情の嵐を
乱暴な線で書きなぐったいびつな直線で
あ と叫ぶ
歌にはならない音で
自分のものではない何かの絶叫で
すべてを壊したい衝動と
すべてを受け止めたい情動を
伝えたいと願うんだ
聞かせたいと望むんだ
頭の中で渦巻いていた嵐のような不満と怒りはおさまって
力なく落ちたペンを誰かが拾ったんだ
あ と呟く
言葉にならない声で
自分ではないような弱弱しい音で
すべてから逃げ出したい反省と
すべてから隠れたい劣等感で
消えてしまいたいと願うんだ
永遠に眠っていられたらと望むんだ
乱高下する壊れた振り子人形のような心は落ち込んで
それでも砕けた手を引き上げるその手は
あ という間に
暗い場所から連れ出して
色のついた景色は眩しくて
握られたその手に心が追いついて
熱をもって体に火を灯すんだ
あなたに恋をしたんだ
ずっと一緒に居られたらと
そう
心のすべてが歌っているんだ
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