まだ春/soft_machine
 
あくびで一度とぎれた
ぼんやりとした想像が
ふたたび春らしい匂いをおび
洗われるまま
はなびらとして降る

爪先から土深く送り帰す
耳に触れる波を渡り
押し殺した時間を還す
語感で変換される
容易い感情は
ほんとうの気持ちを知っているのに

薄い硝子に挟み
ゆっくりと眺め
色が退いてゆく姿すら
いつか美しいと
歌にする

願いながら
たぶんもうすぐ
貴方が走って追い抜いてくれると
春を終わらせるのは貴方




戻る   Point(5)