新・保育所を探して/モリマサ公
 
声をあげている
いくつもの 
レイヤーが重なっていくそれぞれの 
距離が
操作され表示されて
わたしたちのピントはあわせられていく
感覚的な現象そのものにすら同じように


記憶に残りそうもない風景で立ち止まる
振り返る
水たまりや家と家の隙間で
とじられていくまぶたの音

わたしたちはどこにだっている


ぴかぴかのシャトルに乗り込む飛行士のようなすがたで
銃を抱いた泥だらけのはだしの子のやぶけたポッケの中や
くろい枝の節々やそのきっ先で光る緑のはっぱのうらにだって




電話だ
今?へいきへいき
まじで?


生きてるよ〜

うん




まじでー?生きてるよ〜
うん
生きてるよ〜



えー?




 
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