キス、のはなし。略して『キスバナ』/秋葉竹
僕は無口だけどね
だからこそ
なのかな
子どもが泣きつづけて
その、かまってほしい泣き声が
止まらなくなってしまったみたいに
あるいは
引き笑いみたいなしゃっくりが
止まらなくなってしまったみたいに
言葉が出つづけてくることがあるんだ
いや、
ほんとうに
無口だから、
言葉、は
じつは
言葉、ではなくって
文字、になって
出てくるんだ
そのとき
ふと想って。
だれも
聴かない
だれも
読まない
だれも
憶えていない
そんな
言葉なら
言葉は
あるいは
文字は
僕の頭や体や心から
あふれ出
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