過去作二編(薔薇の美少年、百合の男)/
本田憲嵩
される 甘酸っぱい 柑橘類の息が
柔らかな風のように オレの前髪に かかるので
思わず 幸福のため息を漏らしてしまう――
これは、オレと彼との百合色の空間だ
襞のついた 純白の甘ロリのドレス を着させ
そのはにかみさえ 純白だ
まるで 女が上質のケーキを食べた時みたいに
思わず ジーンと来てしまう
これは、オレと彼との百合色の空間だ
蝶のように いじらしい 生命と生命との 鬩(せめ)ぎ合いだ
戻る
編
削
Point
(3)