過去作二編(薔薇の美少年、百合の男)/本田憲嵩
 
される 甘酸っぱい 柑橘類の息が
柔らかな風のように オレの前髪に かかるので
思わず 幸福のため息を漏らしてしまう――
これは、オレと彼との百合色の空間だ


襞のついた 純白の甘ロリのドレス を着させ
そのはにかみさえ 純白だ
まるで 女が上質のケーキを食べた時みたいに
思わず ジーンと来てしまう


これは、オレと彼との百合色の空間だ
蝶のように いじらしい 生命と生命との 鬩(せめ)ぎ合いだ





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