いちごシロップ/fujisaki
色あせた政治家のポスター
が見つめる こうえんからまっすぐにのびていた道は
とうきょう行の 一方通行で
希望だった
このどうしようもない こうえんの周りで
くすぶっているはずじゃない わたしは
とうきょうで女と寝たり寝なかったり するはずで
母のいない 小さなアパートで
息をひそめ
て
忘れていくはずだった
こうえんの側溝に捨てられていた
濡れたエロ本を枝で持ち上げて
鬼ごっこをしながらわたしたちは学んだ
ヒーローはいつも あたらしいことばをもってくるやつだった
わたしのなかに住むようになった 女たち
しばしば
わたしを つれていった
けれどいま
[次のページ]
戻る 編 削 Point(2)