光る虫/
やまうちあつし
人は変わる
かなしみか、よろこびか
雲の形が変わるように
誰かの声も変わる
その声で呼ばれても
きっと気が付かないだろう
わたしもまた
変わってしまった
にくしみか、いとおしさか
どちらでも別に
ただ
光る虫を
両方の手のひらで包んだときの
温もりが消えなくて
困っている
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