水面に浮かぶ果実のように/
田中宏輔
いくら きみをひきよせようとしても
きみは 水面(みなも)に浮かぶ果実のように
ぼくのほうには ちっとも戻ってこなかった
むしろ かたをすかして 遠く
さらに遠くへと きみは はなれていった
もいだのは ぼく
水面になげつけたのも ぼくだけれど
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