思い出す全てが/武下愛
 
優しくなでる手
微笑みながら
涙が止まらない

言葉にすると壊れそうな瞬間がとても
心臓の音だけを明確にしていく

色々な事が波を連れてくる
何処にも行けないのではなく
何処にもいかない

きゅっと鳴く音が
私の全てを認めてくれるのだと
抱きしめて離せない

産まれてきて良かったと
産まれてきてごめんなさい
ただその事だけでもいっぱいいっぱいで
仕方がない

何一つとして無駄はなく
構成する一つなのだと分かっている

だからこそ最後に一言呟いていいでしょうか

愛しい(かなしい)
全てに

ありがとう
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