影の居場所/ただのみきや
 
たなごころ
形や音に変えられる

うしろめたい雨が耳の中の風景をそめてゆく
鳥はつめたく燃える

  *

羽根のように軽く
槌のように振り下ろされる
炎の舌よ

鳥 鳥 鳥 さんざめく

おのれの死を転化する
まなざしは
笑いが収まるのを待っている

その肢体が道に化けるのだ
境界に表裏なく立ち
所作は奏でられる
鳥の群れは一斉に飛び立った
眼差しと戒めで縫い留められた
人々の顔や腹から
まだ遠い朝から打ち込まれた銃弾のように

世界の影が
おまえの影が
埋めつくす祭りの夜
はじける人心の獣臭い聖性に
二つの装束はなびいて見分けがつかない

  *

小指から羽化した蝶はメトロノームと戯れる
水盤にはねる笑い よく晴れた影日和



                  (2023年4月9日)







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