夜の弱さへ/由比良 倖
中に消えていく。
コルク玉や、安っぽいビー玉や、泣き虫であったこと。
忘れられない記憶に、触れられると信じている。
(安息以上の場所へ…)
嫌いなものに触れたように。血糊のように。
干からびた後になって、やっと許されたような、
曖昧な私が好きなままで。
そして消えていくのに、明日にはきちんと老いていく身体。
疲れの中で私は思う。
悪趣味になることが正論みたいなこの世界を。
人の仕草が好きだったり、
産まれない方が良かったと思ったり、
私は余計者だと考えたり、
でもギターの彼岸の音や匂いが好きだったりする、
ただの暗い死にたがりの人間として、
私がきちんと目覚めているときに話しかけて欲しい。
そして思う、思い直す。
強くありたい。薬なんか無くても生きられる人間になりたい。
ガラスの血管の下で私たちは微笑み合った。
秘やかな結晶を予測しながら。
弱くありたい。
力と涙の両方が欲しい。
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