疎隔した生き物/あらい
に、私達を指し示す黒塗りの、そこに生きていたであろう回想録の折り筋ですら、陽と火と/漏斗、否と、
、ひとひと、が。ほそい胃に焼べられる。
と、憎憎しい情と愛を溶かし込む。じくりと、錠と哀で、蝕まれる。酔うに浸透していく、生き永らえる、これらみつゆびで、握り潰され。そのてのひらが汗ばんでは、みては、己というものを思い起こさずにはいられない。なんという、疎隔した生き物なのだろう。
これは、ゆうもやのおもいを告げるだけのエニシも、いまだ気づけていない。烈香の山を駆け上がらせる記憶も、薄盲の谷を越えるだけの形見も、惨劇の川に交えるだけの渦中もない、問うしてせせらぎを後目に、締め切られ
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