いますこし、あなたの木陰に/田中宏輔
ているうちに
わたしのつばさは病におかされました
りょうのつばさはばたかせて
遠くにまで飛べないようになったのです
そんなある日、わたり鳥の群れが
わたしのうえをとおりすぎてゆきました
それがあなたのうえをとおることを願って
わたしは群れのなかに飛びこみました
群れのうしろにつけば
遠い道のりを飛ぶことができるのです
それは遠く、遠く
はるかに遠い道のりを飛んでゆきました
何日も何日も飛びました
そのあいだもはねがぬけてゆきました
どんどんどんどんぬけてゆきました
目もすこうし見えなくなってゆきました
そうして、とうと
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