border/桂
彼の拳は
彼の宇宙と外の宇宙を隔てる境界線
受け入れがたい現実を前に
彼は静かに拳を握る
弱きものが虐げられる現実を前に
彼は一人 戦うことを誓う
固く閉ざされ彼の拳の中で
彼の圧縮された理想の宇宙が
ビッグバンのように静かに眠っている
今はまだ拳の中で眠るそんな小さな宇宙も
時が来れば爆発して
やがては外の宇宙すら飲み込んでしまうだろう
それまで彼は行き場のない拳を空に突き上げて
進み続ける 後に続く者が現れることを信じて
彼は一人歩き続ける
私たちの口は
私たちの宇宙と彼らの宇宙
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