border/
 


彼の拳は

彼の宇宙と外の宇宙を隔てる境界線

受け入れがたい現実を前に

彼は静かに拳を握る

弱きものが虐げられる現実を前に

彼は一人 戦うことを誓う

固く閉ざされ彼の拳の中で

彼の圧縮された理想の宇宙が

ビッグバンのように静かに眠っている

今はまだ拳の中で眠るそんな小さな宇宙も

時が来れば爆発して 

やがては外の宇宙すら飲み込んでしまうだろう

それまで彼は行き場のない拳を空に突き上げて 

進み続ける 後に続く者が現れることを信じて

彼は一人歩き続ける



私たちの口は

私たちの宇宙と彼らの宇宙
[次のページ]
戻る   Point(1)