みっつの渡り/AB(なかほど)
あの夏が来るね
とつぶやきながら
それはもう
来ないことを知ってる
同じ空じゃないこと
同じ雷雲じゃないこと
同じ夕立じゃないこと
同じ僕たちじゃないこと
あれが初恋ならば
はじけてった気持ちは
カルピスじゃなくて
ミリンダレモンライム
フェンス沿いの舗道
はじけた
ミリンダレモンライム
見えているものも見ないで
見えないものばかり探している
そんなふうに季節が過ぎて
あなたは
どこにいましたか
あなたたちは
どこにゆきますか
わたしは
さみしくて
わたしはわたしたちは
という言葉を投げかけながら
あなたたちからも
消えてゆくのかな
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