さようなら/ふるる
筍が好物だったじいちゃんのお墓は竹に隠れて見えない
ぷにゅっと踏んだよウミウシを去りがたい海に別れを告げるため
ご先祖の霊はゲームをセーブして茄子に乗っかりゆっくり帰る
来年もここの祭りであおうぜとそれぞれの地へ散らばるタコヤキ
お別れ会プリンがひとつ余ってて皆知っているけど食べない
新幹線窓越しで声は望めないイチゴの匂いの唇だった
タイ米もおいしく料理してくれた兄ちゃんふらりとまたインドへと
晩飯を食おうぜと言った先輩が花嫁姿になってしまいぬ
ナタデココ流行っていたよあの頃はさよならもせず忘れていった
うぐいすの声がだんだん弱ってく雲の流れは留められない
#短歌祭にこっそり参加
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