どこかで明日が/由比良 倖
 
視界が、壊れてしまった、
味のしないジュースを飲んでいる、
誰も隣にいる感触がしない
私は街外れで明日を迎えている
私は街外れで今日を終えている

空は記憶喪失の色を、
見えない虫の羽音で知らせる、
私の内蔵は赤くて重い、
「誰も私を愛していない」
(そうだろうか?)
「どうだろう」靴底に、
虫の羽の音、どこまでも
壊れた自販機、自販機、自販機…

病院に来る、
死なないことが生きることの秘訣、
定義、誰も直視しないための、
誰も死なない明日を保障するための

ところで明日は来る、
私は昨日今日を迎えた、
今日世界が終わりでも、明日世界が終わりでも、

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