mechanical ventilator(人工呼吸器)/ホロウ・シカエルボク
崩れ落ちることなどない、そいつが生き永らえる中で付着してきた様々な不純物が、泣き叫びながら終わっていくだけなのだ…人間は有限の存在でありながら、無限の魂を持つ、ドストエフスキーはいま何歳だ?やつの本が書店の棚に並ぶようになって、いったいどれだけの時が過ぎているんだ?世界は、魂は、本質は崩れ落ちることなどない、けれどそれを実感し、確かめることが出来るものは非常に少ない、今日最後の灯りはすでに暗闇の中に飲み込まれてしまった、睡魔は相変わらず訪れては来ない、枕の優しさはもはや祈りにも似て、クロニクルは剥がれ落ちて床の塵になった、記憶や思考に意味や名前をつけることをやめてから、夜はとてもとても長くなった、果たしてそれは本質へのルートなのか、それとも愚かな死への秒読みなのか…ひとつ瞬きをするとすべてが塗り替えられたような気がした、もちろんそれは、すべてが死の淵であるかのように凍りついているからだという理由に他ならない。
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